Takashi Hirano
建築意匠設計 マネージャー / 2022年 キャリア入社

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具体的な仕事内容は?
現在、いくつかのプロジェクトに携わっていますが、その中の一つに日本の伝統邦楽専用の劇場があります。この仕事は設計コンペで設計者として選んでいただき始まったプロジェクトですが、プロジェクトの企画段階から携わらせていただいており、どのような劇場にしていくのか、建物の規模はどうするのか、場所はどこにするのか、というところから、運営はどうするのか、集客はどうするのか、どのように発信していくのか、といったブランディングについても提案させていただいています。
2年程の時間をかけてお施主様と全体の枠組みをつくった後に、それらの要望を落とし込む形で建築設計を行い、現在は2023年の春のオープンに向けて工事監理を行っています。 -
仕事をする上で大切だと思うことは?
建築のディテールを見ると、その建物に対する設計者の心意気がわかるんです。それが古い建物である程、当時の設計者へと気持ちを馳せることができます。自分の設計する建物については、ディテールへのこだわりはいつまでも持ち続けたいと思っています。
また、竣工して終わりではなくて、人々に長く愛される建物をつくりたいとも思っています。建築は長い時間その場所に建ち続けるものなので、設計時の流行にあまり影響を受けすぎないようにしたいと思っていますが、一方で今までにないような、新しい地平が拓けるような建築を目指しています。 -
今後取り組んでいきたいプロジェクトは?
どんなに小さくても、その建物が街によい影響を与えられるような建築をつくりたいと思っています。建築の設計はお施主様の依頼により始まりますが、設計者は、お施主様だけでなく、その街に昔から住んでいる人々や、その建物の前を日常的に通っていく人々に対しても、意識を向ける必要があると思います。そういった意味で、プライベートな閉じた箱よりも、開かれた公共性のある建物を設計していきたいと思っていますね。

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やりがいを感じる瞬間、醍醐味は?
私の専門である意匠設計は、お施主様の要望を掬い取りながら、法律や予算、その土地の歴史や周辺環境、構造や設備といった技術的な部分まで、ベクトルの違う複雑に絡み合った要因の中で最適な形を探していくことなんです。長く試行錯誤していると、不思議とさまざまな要因がピタッとはまる瞬間があって、それは数学のように機能的で図学的にもとても美しいものです。それが実際に空間として建ち上がった時には、清々しい美しさがあり達成感を感じます。
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仕事で苦労したことは?
以前に海外で建物を設計したときには、楽しくもありましたが一方で苦労もしました。建築は、当然のことながらその土地に根ざしており、その国の文化や気候や風習等をまずは理解しないといけません。例えば、日本では玄関で靴を脱ぐことや、浴室とトイレがそれぞれ独立していることや、リビングは南側がよいとされていますが、場所が変わるとそれが当たり前ではなくなります。海外で設計したものは、オフィスビル、商業施設、集合住宅、駅舎などたくさんの建物が一体となった建物でしたが、とくに集合住宅といった人が住む場所はかなりデリケートなものなので、日本との環境や文化の違いには苦労しました。
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休日の過ごし方や趣味は?
美術館に展覧会を見に行ったり、劇場に演劇や音楽を観に行ったり、旅行に行ったりすることは好きですね。ただ、意匠設計者の多くがそうなのかもしれませんが、休みの日に気になる建物を見に行くこともありますし、本屋に建築の専門書を探しに行くこともあります。残念ながら、どこからが仕事で、どこからがプライベートなのかわからない日常を送っています。